M 様投稿作品
てっちんと子犬の詩
おす! オラ鉄太郎!
四つ葉学園1年B組! 白いリボンがトレードマーク!
坂道だらけのこの町を、今日も元気に駆け回る!
今日は日曜、お休みだ。お日様ポカポカいい気持ち。
こんないい日はいいことが、どこかできっと待っている♪
慣れた階段駆け上がり、右手に見えるは運動公園。
今日も日課の公園一周、欠かすことなくこなしましょう。
ここの公園結構広い。一周ざっと3キロメートル。
おいらはスタミナ少ないけれど、弱点克服頑張るぞ!
いつもどおりに走っていると、何かの声が聞こえてきた。
小さい小さい鳴き声だ。これは多分子犬かな?
声がした方行ってみる。そこはちょっとした藪の中。
木の根元に何かいる。やっぱりあれは子犬だな。
子犬は一人で鳴いている。寂しそうに泣いている。
おいらは脅かさないように、そっとそっと近づいた。
子犬はちょっとびっくりしてから、嬉しそうに尻尾を振った。
おいらは子犬を抱き上げる。優しく優しく抱き上げる。
顔のところに持ってくると、おいらのほっぺをぺろぺろなめた。
とってもとってもういやつめ、おいらの子分にしてやるぞ♪
おいらは子犬を拾って帰り、一緒に暮らすことにした。
寮まで連れて帰る途中。ふとした不安が頭をよぎる。
寮で子犬は飼えたっけ? 部屋に入れても大丈夫だっけ?
それでもこいつはもう子分。だいじなだいじなおいらの子分。
きっと大丈夫、何とかなるさ♪ 細かいことは気にしない♪
おいらは寮に連れ帰る。だいじな子犬を連れ帰る。
誰もいないか? 大丈夫か?
寮の門から自分の部屋へ、入るまでが勝負だな。
見つからないようこっそりと、足音たてずにひっそりと。
あそこを曲がればおいらの部屋だ。だけどそうそううまくはいかない。
おいらの後ろの寮の入り口、そこから声をかけられた。
おいらはびっくりしたけれど、慌ててしまえば怪しまれる。
抱いてる子犬が見つからないよう、首だけ動かし振り向いた。
そこにいたのは友達の、同じクラスの智香だった。
そしてもう一人あの人は、副会長で科学部の、
芹沢葵っていったかな。
挨拶だけして逃げる様に、部屋へ入ろうとした瞬間、
子犬が一声キャンと鳴く。もちろんばれてしまったぞ・・・
二人を部屋に招きいれ、事情を説明したところ、
「協力するよ。」と智香は言う。すっごくすっごく嬉しいぞ♪
副会長は困った様子で、しばらく思案していたが、
おいらが泣いて頼んだら、なんとか了承してくれた。
「見なかったことにしておきますが、他の人に見つかれば、
ここには置いておけません。」副会長が釘をさす。
もちろん大きく頷いた。
二度と見つからないように、気をつけなければいけないな。
そして次の日、月曜日
いつも一緒と誓った子犬、懐に隠して登校だ。
あんまり動くと見つかるぞ。あんまり暴れると落ちちゃうぞ。
心配しながらゆっくりと、走って行こう学園へ。
高志とこずえと若槻が、門のところでおしゃべり中。
後姿で無防備な、高志に蹴りでもいれようか、
思ったけれど今日は駄目。子犬が落ちて見つかっちゃう。
だから普通に挨拶を、大きな声で「ご機嫌よう!」
高志が変な顔をして、「似合わねえ。」とか言っていた。
おいらも三人のおしゃべりに、参加したけど途中から、
子犬が暴れ出しちゃって、懐もぞもぞ動き出す。
ぎょっとしたように三人が、おいらの懐見つめてる。
何とか誤魔化そうとしたけれど、子犬が顔を出しちゃった。
仕方ないので昨日のことを、簡単に説明しましたな。
これは秘密と約束し、おいらはホッと一安心。
高志は心配したように、「どうせ見つかる、やめとけ。」と、
言っていたけどこのおいら、同じ失敗二度とせぬ!
だけどこのあと教室で、あっさり見つかりどうしよう・・・
クラスの連中集まって、子犬はいきなり人気者。
さらには隣のクラスまで、うわさが広まりたいへんだ。
先生に見つかるのも時間の問題、どうしたものかと考えていると、
人の多さに戸惑うように、神崎夏樹が入ってきた。
事情を説明してやって、拾った子犬を見せてやると、
神崎はびっくりして言った。「あの時助けた子犬です!」
神崎の話を聞いてみると、どうやらこいつは神崎が、
以前助けた子犬らしい。
川で溺れているとこを、神埼が果敢に飛び込んで、
びしょ濡れになるのもかまわずに、必死の思いで助けたようだ。
そのあと飼ってくれる人を、高志と駅前で探したらしい。
その時一人のおばあさんが、子犬をもらってくれたそうだ。
おばあさんのすんでるとこは、あの公園の近くらしい。
もしかしたら逃げ出して、迷い込んでいたのかな?
ちょっと残念だったけど、やっぱり返した方がいい。
おいらは放課後飼い主に、届けることを決心した。
授業が終わって放課後に、子犬を返しに行きました。
別れはとっても悲しいけれど、子犬のためになるならば、
涙を飲んで我慢しよう・・・
おばあさんに子犬を届けると、おばあさんはとっても嬉しそう。
どうやらおばあさんは一人きり、この家に住んでいるみたい。
一人っきりは寂しいと、おいらとってもよくわかる。
だから子犬はこの家に、おばあさんと一緒がいい。
だけどやっぱりお別れは、悲しい悲しいものなのだ。
おいらが別れを惜しんでいると、おばあさんは言いました。
「いつでも遊びにおいでなさい。」おいらは笑顔で頷いた。
次の日いつもの公園を、うきうきしながら一周だ。
今日から日課が一つ増える。子犬に会うという日課。
自然と足は速くなる。早く会いたい楽しみだ♪
今日もサンサン降り注ぐ、お日様ポカポカいい気持ち♪
こんないい日はいいことが、どこかできっと待っている♪
Fin
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<あとがき>
作者「ど〜もご機嫌ようです。
KLEINさんの掲示板で自分の同志となってくれた
あべべさんへの誕生日プレゼントとして書いた『てっちんと子犬の詩』
楽しんでいただけたでしょうか?」
鉄太郎「今回おいらが大活躍〜〜♪」
作者「はい。お疲れ様でした。」
鉄太郎「だけど、なんだか見つかってばっかりだったな。」
作者「今回は詩の形式だったので、展開を早くしないと読者が飽きちゃうかなと思いまして。
もともとはてっちんの一人称で語られる以外は普通の話にしようと思っていたのですが、
最初の三行書いたらなんだか詩のようないいリズムになったので、
このまま突っ走るのも面白いかなと思ったからです。」
鉄太郎「面白いのか?」
作者「え?」
鉄太郎「お前は面白いかもしれないけど、読者が面白いと思ってくれるのか?」
作者「・・・うあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」(発狂)
鉄太郎「おお! バグッたバグッた♪
バグッた作者は置いといて・・・
ここまで読んでくれた奇特な人。おいらの活躍楽しんでくれたか?
これからもどんどん活躍するから楽しみにするんだな♪
では、ご機嫌よう!」
作者「ご機嫌よう♪」
鉄太郎「お、直ってる・・・」
※「智香って誰だ?」と思った方へ
ファンディスクのサイドストーリーの鉄太郎編をやってみてください。
名前だけですが出てきますよ♪
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