紅陽華 様投稿作品


どうも皆さん、初めまして。
えっ、誰に向かって言ってるのかって? それは当然、このSSを読んでくださっている皆さんですよ。
私の名前はまゆみ。黄色の、ふわふわした髪と耳とシッポが自慢の猫耳っ子。そして首には青いリボンと鈴。
私はご主人様のお手伝いとして、今ペットショップ『SMILEY』の入口前をお掃除しています。
あっ、ご主人様の紹介がまだでしたね。私のご主人様の名前は、宗像陽彦。
この『SMILEY』の店長である、私のとっても大切なご主人様です♪







SMILEY











えっ? まゆみなんて耳っ子、今まで紅陽華さんのSSに出てこなかったって?
それはそうでしょう。私は新オリキャラですから、今日が初登場というワケです。
それでは、開店までまだ少し時間がありますので、私とご主人様と出会った経緯を簡単に説明しますね。

それは、私が12歳だった頃ですね――――。
その時から私は、野良にして孤児の耳っ子でした。
ある暑い夏の日に、少しでも熱い体を冷やそうと川に行ったのですが………
事もあろうに、私は深みにはまって溺れてしまいました。
苦しい、助けて………! 必死にそう叫ぼうとしても、水が口の中に入って上手く叫べません。
このまま溺れ死んじゃうのかな………そう考えながら、私は水の中へと沈んでいきました。
――――そして、ゆっくり目を開けてみると――――
(アレ…誰かが、私にキスしてる…?)
そして、ようやく頭がハッキリしてきて、自分が陸の上にいるのが解りました。
「良かった……無事だったんだね」
私にキスをしてくれた人物は、大学生ぐらいの、オレンジ色の髪をした男の人でした。
「……私を、助けてくれたんですか? 何で……」
「何でって……放っておけなかったからに決まってるだろ?」
その後、その人は「必要なら病院に送るけど?」と聞きましたけど、あんまり見ず知らずの人に迷惑は掛けたくないと
思ったし、何よりもう体の方は大丈夫だったので、首を横に振りました。
「それじゃあ。もう深い所へ行っちゃダメだよ」
そう言って、男の人は去っていきました。
それが、私とご主人様の初めての出会いでした。

それから三年後、私はもう一度あの人に会う為に、この街までやって来ました。
そこでようやく、歓楽街で仕事を見つけ、そこで働く事になりました。
………皆さん歓楽街って言葉を聞いたから、どうせ如何わしいお仕事の方を思い浮かべたでしょ?
私は断じてそんな仕事はやっていません! 
じゃあ、何の仕事なんだというと……CD/DVD販売及びレンタル店の店員さんのお仕事です。
そして、そこで働き始めて一ヶ月が経とうとしていた頃――――。
「………あっ!」
私はようやく、陽彦さん…ご主人様を見つけたのです。ご主人様はペットショップの店長さんでした。
私は、事の経緯を皆に話して、CD/DVD販売及びレンタル店のお仕事を辞めて、ご主人様の元へ行きました。
ご主人様は最初、私が誰だか解らなかったようですが、すぐに思い出してくれました。
そして私は、ご主人様と一緒に暮らして、こうやってお手伝いもしている、というワケです。


「まゆみ、掃除終わったかい?」
「はい、ちょうど終わりました」
「じゃあ、開店しようか」
「はい」
こうして、今日も『SMILEY』はいつもどおりに開店、私とご主人様は店内に入るのでした。
今日、私と店長であるご主人様が勤めるのはペットショップの方です(この『SMILY』も他のペットショップ同様、喫茶店も
やっているんですよ)今日はいつものスタッフに加えて、お隣の動物病院のケンタ君とセイヤ君もいます。
私とセイヤ君は接客の仕事、ケンタ君にはペットホテルのお仕事を任されました。
「いらっしゃいませ」
早速、今日一人目のお客さんがやって来ました。若い男性のようです。
その人は、首輪やらリードやらが置いてある場所を暫く眺めた後、
「あの、すいません。このサイズの、緑色の首輪はありませんか?」
「緑色、ですか? 少々お待ちください」
そう言って、私はセイヤ君と一緒に商品の在庫のある事務室の倉庫まで行きます。
そして、五分ほど経過して――――。
「お待たせ致しました。こちらですね」
「はい、そうです。どうもすいません」
そう言って、男性客はそれをレジまで持って行きます。
「あっ、いらっしゃいませ」
そして、今度は次のお客さんがやって来ました。


「えっと、この品物は……ココに置けばいいんだな」
「ああ、悪いね、セイヤ君」
「いえ、そんな……」
セイヤ君は、今度は商品置きの仕事をしています。そして私は―――。
「はい、触ってごらん」
「ありがとう……わぁ、ふかふかしてて気持ちいい〜」
ポメラニアンをショーケースの中から出して、女の子に抱かせて上げました。
時刻は午前十時。ペットショップの中にはそれなりにお客さんで賑わっていました。
「すいませーん」
「あっ、はい。何でしょうか?」
「預けていたペット……ジャックを引き取りに来たのですが……」
「はい、分かりました」
そう答えて、私はジャックを引き取りに来た女性客をペットホテルまで案内します。
ペットホテルに入ると、丁度ケンタ君がジャーマン・シェパード・ドッグのジャックと遊んでました。
「きゃはは、くすぐったいよ〜―――あっ、まゆみん。もしかして、この子を引き取りに来た人?」
「ええ、そうよ」
「良かったね。ご主人様が迎えに来てくれたよ♪」
女性客が近づくと同時に、ジャックの方も自分からご主人様の方へと歩いて行きます。
「ワン、ワン!」
「ジャック、お待たせ」
ジャックのご主人様はジャックの頭を撫でて、そう言います。
「坊や、もしかしてジャックがここにいる間、ジャックの相手をしてくれていたの? 有難う」
「えへへ、どういたしまして〜」
ケンタ君、ジャックのご主人様に褒められてご満悦のようです。
私達はご主人様と一緒に帰るジャックを見送り、再び店内に戻るのでした。


ちょうど正午。私達は休憩を取る事にしました。
昼食は、セイヤ君が作ってきてくれたお弁当を店員の控え室内で食べる事にします。
「いっただっきまーす♪」
「それじゃあ、いただきます」
お弁当の中身は、全てサンドイッチですが、セイヤ君の趣味で、色々な物を挟んでみたようです。
いわゆる、創作料理みたいなものでしょうか?
「コレは、もしかして焼肉野菜炒めを挟んだの?」
私はサンドイッチの一つを取って聞いてみます。
「うん、そう。一応、味には自信あるぜ」
そう答えられて、私はどんな味がするのか食べてみました。
「……うん、コレは美味しいわね」
「そうだろ? 他にも色々作ってるから、どんどん食べてくれよ」
「はむっはむ、むぐむぐっ……そうそう、どんどん食べて。セイヤお兄ちゃんのサンドイッチ美味しいよ!」
ケンタ君は凄い勢いで食べてます。
私はもう一つ、サンドイッチを掴み、頬張ります。
「ん? コレって……お刺身? それも鮭の……」
「そう。昨日の夜の残りのサーモンの刺身と、それに付いてきた大根の細切りと三つ葉、それをマヨネーズと醤油とワサビを
混ぜて作ったんだ」
「へぇ……コレもとっても美味しい!」
私達はセイヤ君手作りのサンドイッチを食べて――ご主人様の分はしっかり残して――仕事に戻るのでした。


午後二時ぐらいになって、ペットショップはお客様で更に賑わってきました。
「あっ、ちょっと通りま〜す!」
「ちょっと待ってて……もぉ〜、落ち着いてよぉ〜」
「お買い上げ有難うございます」
……とまぁ、こんな風に大忙しな訳で………
で、私は商品を眺めている人を見つけました。どうやら私と同じ、耳っ子のようです。それも、犬と兎の。
「何かお探しで………」
そこまで言い掛けて、二人が振り向いてきました。
「…えっ……、かなちゃんにさやかちゃん!?」
「あーっ! まゆみ? もしかしてまゆみなの!?」
「うっわーっ、超久しぶりじゃーん!!」
私は驚きました。そして、お客さんである二人も。
それもその筈。私と犬耳っ子のかなちゃん、兎耳っ子のさやかちゃんは、昔CD/DVD販売及びレンタル店で一緒に働いていた
同僚だったからです。
「どうしたの? 今日仕事は?」
「ああ、今日は休みなの」
「それでさ、このペットショップに来てみたら、まゆみが働いてるんだもん。驚いたー」
「あはは……私ね、このお店の店長であるご主人様のお手伝いしてるの」
「ああ、そういえば辞める時そんな事言ってたね、まゆみ」
そこまで話して、私は二人に聞いてみます。
「そういえば、二人は何の用でこのお店に?」
「あっ、それがね。新しく入ってきた犬耳っ子のスタッフに、プレゼントで首輪あげようかと思って」
「へぇ……もしかして、その人の事、好きなったとか?」
「なっ、何故分かったのっ!」
「いや、バレバレでしょ。今の発言で………」
さやかちゃんが言います。確かに好きでもなければ、首輪をプレゼントしようなんて思わないでしょう。
「まぁ、そういう事……で、何が良いかな〜と思って、さやかも連れて来て選んでもらってるのよ」
「そう。じゃ私、在庫の分も持ってくるから」
「うん、ありがと」
そう言って、私は事務室の方へと行くのでした。


「いらっしゃ………あっ」
「へへ、久しぶり。元気にしてた?」
「見ての通りさ。それで、何をお求めですか?」
「そんなにかしこまらなくていいよ〜…… あのね、ドッグフードと、あとジュリアの新しい首輪を買いに来たんだけど」
「ああ、それならこっちだ」

「ごめーん、待たせちゃって」
私が倉庫に置いてあった、店内には置いていないデザインの首輪を持って二人の元へ向かうと………
「コレなんかどう?」
「うーん、黒ってなんか地味系だから、ちょっと彼には似合わないかも」
「それじゃ、白なんてどう?」
…アレ? 犬耳っ子のお客さんが一人増えてるような………
「ああ、まゆみ。倉庫の方行ってたのか。ところで、あの二人は誰だ」
「え? うん、私の前の仕事場の友達の、かなちゃんとさやかちゃんだけど……あの子は誰?」
私は、茶髪の、メガネを掛けた犬耳っ子を指差して言います。
「ああ、アイツはちひろって言ってな。オレの昔の知り合いなんだ。犬の首輪とドッグフード買いに来て、あの二人と会って
一緒に首輪選んでるんだ」
「うん、それは分かるけど………」
随分、打ち解けるの早いなぁ。
私はそう思いつつ、かなちゃん達に首輪を見せてあげました。
「うーんと………」
かなちゃんに加え、さやかちゃん、ちひろちゃんも真剣に首輪を眺めて考えます。
何か、いいですね。こういうのって。
一人の事を皆が一緒になって考えてあげる。何だか思い遣りがあって、微笑ましい事ですね。
「……よしっ、コレにしよう!」
そう言ってかなちゃんが選んだのは――――。
「……ホントに、それでいいの?」
金色に銀色の星を鏤めた、かなり派手な首輪でした。
「うん、絶対コレ、喜んでくれると思う!」
「そう……かなちゃんがそう言うんだったら、いいと思うよ」
「有難う、まゆみ。それにさやかにちひろさんも」
私と二人にお礼を言って、かなちゃんはレジに向かうのでした。



「店長、お疲れ様でしたー」
「はい、お疲れ様」
先にスタッフが帰っていって、残っているのはご主人様と私、セイヤ君とケンタ君の四人だけになりました。
「あっ、そうだ。二人とも、コレは今日手伝ってくれたバイト代だよ」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、勿論だよ。今日は頑張ってくれたしね」
「わぁ、陽彦さん、ありがとっ!」
「いやぁ、給料を払ってお礼を言われるとはね」
ご主人様、お礼を言われて嬉しそうです。
「それじゃ、二人とも、今日は本当に有難う」
「ああ、じゃな」
「ばいばい」
二人を見送って、私とご主人様は再び店内に戻るのでした。




明日も、沢山のお客さんの笑顔が見られますように―――――。




























後書き
ペットショップSSその2、書き終わりました。
そもそも、『SMILEY』という店名は、そういえば大塚愛さんの歌にそんなのあったな〜と思いつつ、とりあえず
思いつきで決めたモノですが、やっぱりお客様の笑顔が見たい! という気持ちも込めて、こういう店名にしました。
今回、新たに新キャラも追加してみました。



で、最近になって思った事。
自分のオリキャラもそうなのですが………
犬耳っ子は短髪、猫耳っ子は長髪が多いような………(まぁ、だからといってどうという事は無いんですけど)






それでは、以上、夏のSSにゲストキャラを出演させようと企んでいる紅陽華でした。ではでは〜♪





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